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1.エクトール・ベルリオーズ

 

ベルリオーズ(1803〜1869)
フランスの医師の長男として生まれる。パリの医学生であった彼は、オペラに夢中になり、特にグルックの作品に感激して1823年から音楽批評の筆を執り、26年パリの音楽院のルシュールに師事。翌年、イギリスの劇団シェークスピア劇場のヒロイン、スミスソンへの情熱を燃やし、それが刺激となって30年に「幻想交響曲」を書き上げる。同年ローマ大賞を受賞。34年はスミスソンとの結婚、そして「イタリアのハロルド」など、創作の情熱に燃えた幸福な時期であった。
しかし、彼が新聞批評などを受け持ち、文筆家としても立てるようになった反面、そのことが逆に彼の音楽界での社会的な破滅の一要因となったのである。39年の合唱付き劇的交響曲「ロミオとジュリエット」は喝采されたが、オペラ「ベンヴェヌート・チェリーヌ」劇的物語「ファウストのごう罰」は無残な敗北を喫した。しかしその作品は主にドイツで認められ、リスト、ワーグナーの新ドイツ派に受け継がれることになる。

 

 

ベルリオーズの音楽的特長
ベルリオーズの音楽で特筆すべき点は、「幻想交響曲」に代表される表題音楽の確立と、その色彩豊か大規模な管弦楽法である。イデー・フィクスの手法を用いた劇的表現は、標題音楽に新局面を開いたと同時に、交響詩(※1)のジャンルの先駆けとなった。作品は他に、オラトリオ「キリストの幼時」、「レクイエム」、オペラ「トロイ人」、序曲「ローマの謝肉祭」などがあり、著書「近代の楽器法と管弦楽法」も有名。    ※1.交響詩
  標題音楽の一。19世紀中頃にリストが創始した、管弦楽によって詩的・
  絵画的内容を描写・表現する音楽。概して単一楽章から成る。シン
  フォニック-ポエム。

 
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