教会で荘厳ミサが保存された経緯
ベルリオーズ自筆譜のスコアには「このミサ曲のスコアは、全てベルリオーズの手になるものであり、私を彼に結び付けている長年の友情の思い出として、私に贈られたものである A.ベッセムス,パリ,1835年」と書かれている。この辞を書き残したA.ベッセムスとは、ベルリオーズと時を同じくして入学したベルギーのヴァイオリニスト。1835年、ベルリオーズのコンサートに出演しており、この時に出演料の代わりとして、彼の自筆スコアを贈ったのではないかと推測されている。その後、ベッセムス死去(1868年)後、このスコアは彼の兄弟のヨゼフの手に渡る。ヨゼフは聖カロルス・ポロメウス教会の音楽監督であった。1892年ヨゼフが死んだ後、モールスに発見されるまで実に100年間、同教会のオルガン・ギャラリーの古いオーク製の櫃(ひつぎ)の中で眠っていたのである。
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